この記事では「小売り」業界の中で、SNSマーケティングに成功している企業事例と、おすすめのSNS戦略について解説をしています。
小売りとSNSマーケティング
日々私たちの生活を身近で支えてくれる「小売り」。
小売りといっても形態はさまざまであり、駅前に店舗を構えるデパートから近所にあるコンビニエンスストア、質のいい商品を高値で提供する店から安さを売りにしている店、家電量販店などの特定のジャンルの商品に特化した店舗など、消費者のニーズに合わせた買い物ができる場が多様に用意されています。
令和2年の厚生労働省の暮らしに関する報告では、ネットショッピングをした世帯割合の推移を以下のように報告されています。
2002年からネットショッピングを利用する世帯は増加の一途を辿り、特に若い世代ではその浸透率は顕著です。
さらに、ここ数年のコロナウイルス感染症予防の観点から、さらにネットショッピングの利用率が増加しているという報告もあります。
出典元:厚生労働省(図表1-4-3 ネットショッピングをした世帯割合の推移(二人以上の世帯・世帯主の年齢階級別))
このような状況から、小売りは他店舗のみではなくネットショッピングにも対抗できるような戦略を立てる必要があるといえるでしょう。
SNSマーケティングを小売りに取り入れる主なメリットは、店舗の認知拡大が見込めること、ユーザーとのコミュニケーションが可能なことです。
小売りは店舗を構えているため、認知拡大しようとしても新規顧客の獲得が難しく、店内広告やチラシを用いたPRでは、実際に店舗に足を運んでくれている消費者や、近隣の住民以外をターゲットとした呼び込みが困難といえます。
SNSマーケティングでは、媒体がSNSのため幅広いユーザーに対して情報を発信することが可能であり、「近くにあるのに行ったことがなかった」「少し遠いけど行ってみようかな」のように消費者の来店を後押しすることが可能です。
また、何か問い合わせ事項がある際にもSNSを取り入れることが有益と考えられます。
従来は直接店舗に足を運ぶか電話などで問い合わせるしか方法がありませんでした。一方で、SNSを取り入れた場合は双方間のコミュニケーションが可能なため、従来よりも気軽に問い合わせができるようになることが期待できます。
そうした観点から、小売り業界でもSNSマーケティングが有効な手法といえるでしょう。
【小売り】Instagram活用事例
Instagramの最大の特徴は、画像や動画などの視覚効果に優れたSNSであることです。
画像を1投稿に対して10枚まで画像の投稿が可能なため、商品のオススメポイントをいくつか紹介したり、商品の画像や活用方法をさまざまな角度やシチュエーションで紹介できる点もInstagramの強みといえるでしょう。
また、実際の店舗や店員が映った画像や動画を投稿することで、
「こういう雰囲気の店内であれば、緊張しないで買い物ができるかも…」
「実際にこの店員さんに商品を案内してもらいたい」
のように実際の雰囲気を感じてもらい、店舗に行ってみたり、商品購入のイメージを想起させることも可能です。
ここでは、Instagramを活用したSNSマーケティング事例をご紹介します。
ドン・キホーテ公式|企業公式アカウント運用【Instagram】
ドン・キホーテは、広い店内・黄色い看板・「驚安の殿堂」というキャッチコピーで知られている総合ディスカウントストアです。
取扱商品は、日常品・食料品・衣料品・化粧品・家電製品・インテリア・パーティーグッズ・宝飾品・ブランド品など非常に幅広く、「圧縮陳列」と呼ばれる買い物の楽しさや面白さを消費者に訴えるために考えられたドン・キホーテ独自の陳列方法が用いられることで他のディスカウントストアとの差別化に成功しています。
ドン・キホーテの公式Instagramアカウントが「ドン・キホーテ公式(@donki_jp)」です。
出典元:ドン・キホーテ公式Instagram(@donki_jp)
主な投稿内容は、ドン・キホーテ公式の商品の紹介です。
商品の見た目が分かりやすいサムネイル・商品の特徴(詳細情報・使い方など)を説明した画像・サンクスページ(投稿の保存を促す・店頭で商品が見つけられない場合はスタッフに投稿を見せるように訴求)にキャプション(詳細情報・商品名・商品コード・値段)という構成の投稿が多く見られます。
加工して投稿されている画像は、まるで店頭にある手書きポップのような見た目となっており、ユーザーに親近感を感じさせます。
また、毎日投稿していること、商品によってインフルエンサーを起用していること、ユーザーからコメントがあった場合は必ず返信していることも、ドン・キホーテ公式アカウントの人気の要因と考えられます。
新店舗オープン時には、その店舗の魅力をリール(動画)で投稿することによって、ユーザーの「行ってみたい!」「楽しそう!」という気持ちを後押ししています。
【小売り】Twitter活用事例
Twitterの最も大きな特徴は、短文のメッセージによるコミュニケーションがメインであることと、拡散力の高さといえるでしょう。
多くの企業がこの「拡散力」を活用したキャンペーン施策を実施しています。
小売りでも、キャンペーンを実施する場合や、ユーザーの興味をそそる情報をできるだけ多くのユーザーに向けて発信したい場合にはTwitterが適していると考えられます。
また、Twitterのアカウント運営では、ユーザーがファン化するように投稿内容を工夫することがポイントです。
例えば、硬い印象を持たれがちな店舗があえて「ゆるいイメージ」を演出したり、大手小売りがユーザーからのコメントのひとつひとつにレスポンスしていたり、食料品を取り扱う小売りが商品を使ったレシピを紹介するなどの工夫も有効といえるでしょう。
ここでは、Twitterを活用したSNSマーケティング事例を1つご紹介します。
ヨドバシカメラ【公式】|SNSキャンペーン【Twitter】
ヨドバシカメラは、国内で5本の指に入る大手家電量販店チェーンストアです。
家電量販店として初めてポイントサービスを展開したり、ECサイトを運営したりとさまざまなアイディアを実践してきた企業です。
ヨドバシカメラのTwitter公式アカウントが「ヨドバシカメラ【公式】(@yodobashi_X)」です。
出典元:ヨドバシカメラ公式Twitter(@Yodobashi_X)
ヨドバシカメラ【公式】の主な投稿内容は、商品・キャンペーンの紹介です。
ここでは、2022年9月に実施された、「ヨドバシカメラ×石井スポーツ 引用ツイートキャンペーン」について紹介します。
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— ヨドバシカメラ【公式】 (@Yodobashi_X) September 16, 2022
ヨドバシカメラ×石井スポーツ
引用ツイートキャンペーン?️
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1⃣@Yodobashi_X をフォロー
2⃣ #10月1日2日は山中湖へ行こう #石井スポーツアウトドアキャンプスタイル とコメントを書いてこの投稿を引用ツイート
抽選で1名様に「SONY VLOGCAM ZV-E10L」を?
10/1まで❗#ヨドバシプレゼント企画
出典元:ヨドバシカメラ公式Twitter(@Yodobashi_X)
これは、石井スポーツとのコラボキャンペーンです。
キャンペーン参加方法は簡単で、ヨドバシカメラ【公式】をフォローして、ハッシュタグを付けて投稿を引用ツイートするだけ。抽選で1名にカメラが当たるという企画でした。
この投稿には、約5,300件以上の引用ツイート、約3,800件のリツーイト、約2,300件のいいねが付いており、キャンペーンの話題性が伺えます(2022年12月現在)。
また、ヨドバシカメラ【公式】のフォロワーを増やしながら、石井スポーツのハッシュタグを入れた引用RTをさせることで、お互いがウィンウィンになるキャンペーンを実現しています。
【小売り】TikTok活用事例
TikTokとは、15秒から10分ほどの短い動画を作成・投稿できる、動画プラットフォーム型SNSです。
さまざまなBGMやエフェクト、トリミングなどの編集が簡単に行えて、フォロワーに関係なくハッシュタグで拡散されることから、若いクリエイターを中心に爆発的にユーザー数を伸ばしていすが、近年はユーザーの年齢層も広がりつつあります。
他のSNSと比較して使用している企業がまだ少ないため、早期にTikTokの活用を開始することでブルーオーシャン戦略が可能であることや、テンポよく商品を紹介できることから、企業からの注目が集まっているSNS媒体といえるでしょう。
ここでは、TikTokを活用したSNSマーケティング事例を1つ紹介します。
ローソン|企業公式アカウント運用【TikTok】
ローソンは、三菱グループに属する大手コンビニエンスストアチェーンです。
関東圏に展開されているナチュラルローソンは、健康志向が徹底しており、合成保存料不使用・国産原料推進・特定保健用食品の販売などの独自の魅力を打ち出しています。
ローソンの公式TikTokアカウントが「ローソン(@akiko_lawson)」です。
出典元:ローソン公式TikTokアカウント(@akiko_lawson)
ローソン公式TikTokアカウントの主な投稿内容は、新紹介のPRやローソンオリジナル商品を用いたレシピです。
@akiko_lawson ミキサーを使わずに袋で揉む簡単レシピです? #ローソン #アップルマンゴー #マンゴー #マンゴープリン #冷凍フルーツ #アレンジレシピ #TikTokレシピ ♬ Contra 2 – Official Sound Studio
出典元:ローソン公式TikTokアカウント(@akiko_lawson)
上記は、人気の冷凍フルーツのアレンジレシの紹介です。
「まさかこんなことになるとは」という、意味深な始まりでユーザーの興味関心を惹きつけています。
レシピ紹介の投稿では、少ない材料で簡単に作れるレシピや、アイディアが凝らされた美味しそうなレシピが多く、ユーザーの「作ってみたい」「おいしそう」という気持ちを後押しすることで、ユーザーの消費行動につなげているといえるでしょう。
実際にレシピ紹介の投稿は他の投稿と比べていいね数が多く、ユーザーのレシピ投稿への関心度の高さが伺えます。
小売りおすすめSNSマーケティング戦略3選
❶お役立ち情報で、ユーザーからエンゲージメントを獲得する。
SNSにおけるエンゲージメントとは、”いいね”、”RT“、”コメント“といった、ユーザーからのリアクション(投稿の影響力)のことです。エンゲージメントは、エンゲージメント率で指標化することができます。
エンゲージメント率は、以下の計算式で算出することができます。
エンゲージメント率が高いということは、ユーザーの関心や拡散を得られたということであり、結果的にフォロワー獲得やより高いフォロワーの育成といった成果が得られているということになります。
SNSにお役立ち情報を投稿すると、「この商品気になる」「お店に行ったら買ってみよう!」というユーザーからのいいね・RT・保存といったアクションが見込めます。
そのように買い物メモ代わりに活用することで、エンゲージメントの獲得が見込めるのです。
❷ルエンサーのPR投稿をTikTok広告で配信する。
インフルエンサーの起用は、SNSマーケティングで代表的な戦略のひとつといえるでしょう。
インフルエンサーを起用する際は、フォロワー数のみではなくエンゲージメント率を確認し、PRしたい商品とのマッチ度合いも考慮して慎重にインフルエンサーを選定するよう心がけましょう。
特に、TikTokにおける第三者配信はオーガニックライクかつ反応がよいということで、インフルエンサーに依頼する戦略は効果的な戦略といえるでしょう。
❸実際に店舗に来店してもらい、口コミ拡散を行う。
小売りに足を運んで、購買行動につなげるためには、一般ユーザーからの口コミも重要です。一般ユーザーの口コミは、企業によるフィルターを通さない「信頼のおける情報」として好まれる傾向があるからです。
口コミプロモーションサービス「トラミー」では、広告主様の商品やサービスを体験した感想を、会員が普段から使用しているSNSアカウントに投稿して拡散を測ります。
トラミーでは、小売りの「店舗に足を運んでもらえるように誘導したい」「小売りならではの商品を実際に購入してもらいたい」といった要望に応えることが可能なメニューとして、「イベントレビュー」や「購入レビュー」というサービスを提供しています。
●イベントレビュー
イベントレビューとは、トラミー会員に飲食店/商業施設などに派遣をして体験をしてもらい、そのレビュー(感想)を、指定のSNSやブログに投稿をさせ、認知拡散・UGC生成が可能なサービスです。
「店舗の認知を広げたい」「新規顧客を獲得したい」などの要望の際に適したメニューです。
●イベントレビュー
購入レビューは、トラミー会員に指定の購入場所で商品を購入をしてもらい、そのレビュー(感想)を、指定のSNSやブログ投稿をさせ、認知拡散・リード獲得・UGC生成が可能なサービスです。
「リード獲得をしたい」「SNSに大量の口コミを生成したい」などといった要望の際に適したメニューです。
これらのメニューには、事前/事後アンケートも含まれるため、アンケート結果を踏まえた今後の戦略を立てるヒントも得られることが期待できます。
SNSマーケティングを活用して集客率向上を狙う。
いかがでしたでしょうか?
今回は、小売りにおけるSNSマーケティングの成功事例とおすすめ戦略を解説しました。
小売りはSNSとの相性が良く、インフルエンサーの起用から、投稿内容、キャンペーン、UGC生産まで、取ることのできる戦略・施策が多岐に渡ります。
それぞれのSNSの特徴をおさえて自社ブランドのマーケティング活用することができれば、ブランディングや販促に大きな力を発揮できるでしょう。
一方で、SNSマーケティングは戦略立案から分析まで、専門性の高い工程が多くあります。
さらに、フォロワーに対する反応などアカウントの細やかな運営がファン化のポイントとなります。
自社でSNS運営を検討する場合、SNSアカウント運営に時間が割かれてしまったり、試行錯誤の運営で効果が出るまでに時間がかかってしまうおそれがあります。
そうした障壁を超えて小売りのSNSマーケティングを成功さえるためにも、まずはプロに相談してみるのはいかがでしょうか?