この記事では、社会人のマナーともいえる「手紙の基本的な書き方」をご紹介します。
ほかにも、手紙のマナーや時候のあいさつなどもチェックしてみてください。
手紙の基本的な書き方(縦書き)
前文
出典:写真AC
前文は、手紙の本文の前に一番はじめに書く挨拶にあたる部分のこと。
「拝啓」などの頭語もこの前文で述べます。ほかにも、季節感を伝える時候の挨拶や、相手を気遣う言葉などもこの前文で記します。
なお、季節の挨拶や弔事の手紙、詫び状の場合は頭語は使いません。
主文
主文は、手紙の用件や目的を述べる部分。
「さて・ところで・実は」などの起こし言葉「起語」を用いて簡潔に述べましょう。
また、主文に記す用件は1つまで。大事な内容が伝わりにくくなってしまうため、2つ以上入れないように気をつけてください。
末文
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末文は結びのあいさつです。
「敬具」などの結語も末文で記します。この際、結語は頭語に対応した言葉を添えるようにしましょう。
なお、季節の挨拶や弔事の手紙、詫び状の場合は頭語と同様に結語も使いません。
後付け
後付には、手紙を書いた日の日付と署名、宛名を書きます。
宛名は、本文や署名よりも少し大きめの文字で書くようにしましょう。また、日付は縦書きの場合は漢数字を、横書きの場合は算用数字を使います。
ほかにも、祝い事や季節の手紙では日付を入れず「令和○年○月吉日」「2021年元旦」「令和○年盛夏」などとする場合もあります。
脇付け
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脇付けは、相手により敬意を表すために書くものです。
便箋の「後付け」に書いた宛名の脇と封筒の宛名の脇に書き添えます。
書き添える場合は、宛名の「左下」に記しましょう。
一般的な手紙で使用することは殆ど無い場合が多いです。
副文
副文は、主文に関する用件の付け足しや、強調して伝えたい事柄を手紙文の最後の書き足すもの。
「追伸」や「追啓」などがこれにあたります。
ただし、弔事や結婚、お見舞いなどの手紙や目上の人に宛てた手紙の場合には使用しないのがマナー。
副文は「重ねて申し上げる」という意味になるため、大変失礼にあたります。
手紙の基本的な書き方(横書き)
前文
横書きの場合、宛名から書き始めましょう。
なお、カジュアルな形式になるため頭語と結語は省略しても問題ありません。時候の挨拶などもかしこまった形式ではなく、簡略化したスタイルで良いでしょう。
主文
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主文は、縦書きの場合と変わらず、「さて・ところで・実は」などの起こし言葉からはじめ、用件を簡潔に記しましょう。
用件を2つ以上いれると相手に伝わりにくくなってしまうため、用件は一つに絞って書くのがおすすめです。
末文
結びの挨拶を記しますが、結語は省略してもかまいません。
その場合は、「またお手紙書きます」などのカジュアルな表現で締めると良いでしょう。
後付け
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手紙を書いた日付・署名を書きます。
この際、日付は算用数字で記しましょう。お祝い事などでは、「令和○年○月吉日」とすることもあります。
脇付け
横書きの場合、友人などの親しい相手に向けた手紙のため原則脇付は添えません。
ビジネスや目上の人向けの手紙の場合は、縦書きにして宛名の左下に脇付を添えましょう。
副文
副文は、主文に関する用件の付け足しや、強調して伝えたい事柄を手紙文の最後の書き足すもの。
「追伸」や「追啓」などがこれにあたります。英語では「postscript」となり、「P.S.」などをよく目にします。
手紙のマナー
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①手紙は丁寧な字で、楷書で書く。
②相手の名前が行下にならないように書く。
③自分の名前や「わたし」が行頭にこないように書く。
④2枚目に後付のみを書かないようにする。
⑤忌み言葉は使わない。
⑥数字や金額を書くときは、2行にまたがらないようにする。
⑦「拝啓」と「謹んで申し上げます」の重複に注意する。
(※「拝啓」にはもともと「「謹んで申し上げる」という意味があるため)
⑧ビジネスや目上の人宛には縦書き、友人など親しい間柄では横書き。
⑨宛名には必ず敬称をつける。
⑩「て・に・を・は」を省略しない
時候のあいさつ
手紙では、前文に時候の挨拶を添えた後に相手方の体調や安否を尋ねる挨拶が続きます。
ここでは、例文とともに各月の時候の挨拶をご紹介します。
【1月】
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新春の候(1月上旬~1月中旬)
「新しい年が巡ってきた季節」を表す。お正月のイメージがある言葉。
初春の候(1月上旬~1月中旬)
「春が始まりますね」または「新しい年が始まりますね」という意味。
寒冷の候(1月中旬~1月下旬)
「寒さが厳しくなってくる季節」のこと。12月全般から1月全般にかけて用いる。
寒風の候(1月下旬)
「冬の寒い風が吹く季節ですね」という意味。1年のうち最も寒い時期に使う挨拶。
大寒の候(1月下旬)
「寒さが最も厳しくなる頃」という意味。
厳寒の候(1月全般)
「厳しい寒さの季節ですね」という意味。1月~2月の真冬の季節に用いる。
例文:「新春の候、謹んでお慶びを申し上げます。」
【2月】
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節分の候(2月1日~2月4日)
「節分の時期になりましたね」という挨拶。
立春の候(2月3日~2月中旬)
「春が始まりました」という意味。
春寒の候(2月4日~3月上旬)
「まだ寒いですが、春がやってきました」という意味。
余寒の候(2月4日~3月上旬)
「暦の上では春なのに肌寒い時期」のこと。
向春の候(2月上旬~3月下旬)
「日ごとに春に向かっていますね」という意味。
梅花の候(2月全般~3月全般)
2月から3月の梅の花が咲く時期に用いる挨拶。相手の地域に合わせて使う。
例文:「立春の候、まだまだ寒い日が続いております。いかがお過ごしでしょうか。」
【3月】
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早春の候(2月上旬~3月上旬)
「春になって間もない時期」のこと。
春暖の候(3月中旬~4月末)
「春の温かさが感じられる季節ですね」という意味。
春分の候(3月20日~4月上旬)
「桜が咲き始め、春の暖かさを感じられる季節」のこと。
麗日の候(3月全般)
「麗らかな春の日」という意味。
春風の候(3月下旬~4月中旬)
「春の穏やかな風が吹く季節になりましたね」という意味。
桜花の候(3月中旬~4月上旬)
桜の花が美しく咲き誇っていること。
例文:「早春の候、少しずつ暖かさを感じる季節となりました。」
【4月】
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春和の候(4月全般)
「穏やかな日差しを感じる過ごしやすい時期になりましたね」という意味。
陽春の候(4月全般)
「春の陽気に満ちた時期ですね」という挨拶。
春暖の候(4月全般)
「春の暖かさを感じる季節」のこと。
春爛漫の候(4月全般)
「春の花が咲き、光に満ちた季節」のこと。
暮春の候(4月全般)
「春が終わる時期」のこと。
惜春の候(4月中旬~下旬)
「春が過ぎていくのを惜しむ」という意味。
例文:「春暖の候、心浮き立つ今日この頃」
【5月】
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葉桜の候(5月上旬)
「桜の花が散って、若葉が出るころ」のこと。送る相手の地域に合わせて使う。
新緑の候(5月全般)
「緑がまぶしい季節」という意味。
向暑の候(5月全般)
「季節が夏に向かっている、暑さに向かっている」という意味。
軽暑の候(5月全般)
「次第に夏の暑さを感じ始める季節」という意味。
薫風の候(5月5日~5月下旬)
新緑の間を吹く風のこと。
若葉の候(5月中旬)
「新しい葉が生えはじめた時期」のこと。
例文:「新緑の候、初夏の気配が致します。」
【6月】
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薄暑の候(6月上旬)
初夏のころの少し感じる暑さのこと。実際の気候に合わせて使うと◎。
青葉の候(6月上旬)
「木々が青々と茂る季節」という意味。
入梅の候(6月上旬~中旬)
「梅雨入りの季節になりました」という意味。
梅雨の候(6月中旬~下旬)
梅雨の時期全般に使うことができるあいさつ。
向夏の候(6月全般)
「夏に向かう頃」のこと。
夏至の候(6月下旬)
「夏至」の期間に使う。
例文:「梅雨の候、梅雨明けが待ち遠しいですが、つつがなくお過ごしでしょうか。」
【7月】
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七夕の候(7月上旬)
「七夕祭りの季節ですね」という意味。
小暑の候(7月上旬~7月中旬)
「暑さが次第に強まっていく季節」に使うあいさつ。
盛夏の候(7月上旬~8月上旬)
「夏の盛りのもっとも暑い時期」に使うもの。梅雨が明け、暑くなる時期に使う。
驟雨の候(7月下旬)
「夏の午後に、急に激しく降るにわか雨(夕立)」のこと。
炎暑の候(7月下旬~8月上旬)
「燃えるような厳しい暑さ」を表すあいさつ。
酷暑の候(7月下旬~8月上旬)
「厳しい暑さ、うだるような暑さ」という意味。
例文:「酷暑の候、厳しきおりではございますが、ご健勝のことと存じます」
【8月】
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盛夏の候(7月上旬~8月上旬)
「夏の盛りの頃」という意味。梅雨が明けて暑くなる大暑の期間中に用いることが多い。
残暑の候(8月上旬~9月上旬)
「立秋を過ぎても暑い日が続きますね」という意味。
晩夏の候(8月上旬~8月中旬)
「夏の終わり」の意味。
立秋の候(8月上旬~8月中旬)
「秋の始まり」という意味。
秋暑の候(8月上旬~8月下旬)
「秋になりましたが、まだ暑い日が続きます」というあいさつ。
向秋(こうしゅう)の候(8月中旬~8月下旬)
「秋に向かう時季になりました」という意味。
例文:「盛夏の候、お変わりありませんか。」
【9月】
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残暑の候(8月上旬~9月上旬)
「立秋を過ぎても暑い日が続きますね」という意味。
新秋の候(8月上旬~9月上旬)
「秋になり始めた頃」に使う挨拶。
爽秋の候(9月上旬~9月中旬)
「空気が澄んでいて気持ちのいい秋、爽やかな秋」という意味。
白露の候(9月上旬~9月下旬)
「白露の季節になりましたね」という挨拶。
野分の候(9月上旬~9月下旬)
「野の草を分けるように風が強く吹く頃ですね」という意味。
仲秋の候(9月中旬~10月上旬)
「秋もだいぶ深まってきた頃」に用いる挨拶。
例文:「新秋の候、続いていた残暑もようやく和らいできました。」
【10月】
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仲秋の候(9月中旬~10月初旬頃)
「秋も深まってきた季節」を表す。
秋晴の候(9月中旬~10月下旬)
「晴れわたる秋の天気」という意味。
紅葉の候(10月8日~下旬頃)
「秋になって木の葉が赤く色づく」という意味。
清秋の候(10月全般)
「空が清く澄みわたった秋の季節」のこと。
寒露の候(10月中旬~10月下旬)
「霜の降りそうなほど寒い時季になりましたね」という意味。
錦秋の候(10月中旬~11月中旬)
「紅葉が錦のように色づいて美しい季節」のこと。
例文:「錦秋の候、四季の移ろいを感じる今日この頃です。」
【11月】
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霜秋の候(11月上旬~11月下旬頃)
「秋が深まり、霜が降りる頃」のこと。
向寒の候(11月上旬~12月全般)
「寒い季節に向かっている」という意味。
初霜の候(11月中旬~11月下旬)
「秋から冬にかけて最初に降りる霜、その霜が降りた頃」に使う。
落葉の候(11月中旬~11月下旬)
「秋になって木の葉が落ち、本格的に寒くなる季節」のこと。
深冷の候(11月全般)
「風が冷たくなり、寒さが深まってきた頃」という意味。
夜寒の候(11月中旬~12月上旬)
「だんだんと夜が冷え込む時期になりましたね」という意味。
例文:「落葉の候、冬支度にお忙しくされていることと存じます。」
【12月】
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師走の候(12月上旬~12月中旬頃)
「今年も最後の月になりました」という意味。
季冬の候(12月上旬)
「旧暦の12月」を指す言葉。
歳末の候(12月下旬)
「年の暮れになりました」という意味。昔の年齢の数え方に由来しているといわれる。
冬至の候(12月下旬)
「冬至の時期になりましたね」「日が短くなりましたね」という意味。
歳晩の候(12月下旬)
「もう今年も暮ですね」という意味。
初冬の候(12月全般)
「たいへん寒くなりいよいよ冬ですね」という意味。
例文:「師走の候、お変わりありませんか。」
もらってうれしいお手紙を
出典:unsplash
いかがでしたでしょうか。
この記事では、基本的な手紙の書き方についてご紹介しました。
メールやライン、SNSなどが一般的となっている昨今ですが、季節の変わり目やお祝い事などでは、風流に手紙をしたためてみてはいかがでしょう。
ぜひ、この記事を参考に素敵なお手紙を書いてみてください。
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